妻の余命宣告を聞いて・・・。

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先日、3度目の主治医からの呼び出しがありました。

できれば妻の姉妹も一緒にということでしたが、都合がつかず私ひとりで医師の説明を聞くことになりました。

医師は、はっきり「余命」という言葉は使いませんが、今月いっぱいか、長くても2~3ヶ月でしょうという遠回しの話でした。さらに、「近いご家族にも伝えておいたほうがよいでしょう」と言われました。

その根拠(エビデンス)としては、口から食べられないことによる体力の衰弱。もうひとつは、顎の下の「ガン性皮膚潰瘍」が徐々に広がり、首に集中している神経や血管を冒す致命傷になるだろうということでした。

この「ガン性皮膚潰瘍」は口腔ガン患者に比較的多いようで、顎の下のがん細胞や正常な細胞が放射線や温熱治療などによって壊死し、首にぽっかり大きな穴があき、口の中に貫通してしまうのです。

顎の下をナイフで大きくえぐられたようになり、見るに耐えられない状態になります。当然ながら激痛を伴います。

この潰瘍が治癒する可能性はないという医師からの説明でした。

ガンの治療のために入院しているのですが、最期は衰弱死ということになりそうです。

 

今回は3度目の病院からの呼び出しだったので、ある程度の覚悟もできていたのでしょう、自分でも予想以上に冷静に医師の説明を聞くことができました。

妻の病が治癒する見込みはほとんどありませんが、今、私の中には二つの思いが錯綜しています。

ひとつは、少しでも元気になってもう一度家に帰してやりたいという思いと、もうひとつは、現在の痛さや辛さから解放させて早く楽にさせてほしいという思いです。

どちらの思いがまさっているかを自問自答すると、二つ目の思いの方が強いような気がします。それで、医師にも「緩和ケア病棟への移転も覚悟しています」と言ったのですが、現状はまだ急性期だという返事で対応してもらえませんでした。

 

現在は、痛みは合成麻薬の24時間皮下注射で抑え、経鼻栄養と中心静脈栄養だけで何とか生命を繋いでいます。

毎晩病室に泊まって観察していると、日によって状態は目まぐるしく変わります。

今日はベッドの上に座って、できる限りの身の回りのことをしながら会話もできるので少し回復してきたかかなと思うと、翌日は激しい頭痛を訴えて一日中目を閉じたまま朦朧としています。

元気のよい日は、この様子じゃすぐには死なないなと思うと、翌日は急に具合が悪くなって意識が朧げになり、今すぐ息を引き取ってもおかしくないなという様態になります。

日によって、極端に症状に差があります。毎日がそんな波の繰り返しです。

こんな日々がいつまで続くのかは医師も本人も、私にも誰にもわかりません。

正直なところ、私も肉体的に精神的にかなりまいっています。仕事と介護(病院の付き添い)の両立で自分の生活もなく、ストレスも極限です。好きなギターを弾く時間もありません。本も読めません。

今はミイラのように痩せこけて若い頃の面影は全くありませんが、世界にただひとりの夫である以上、最期まで悔いのないように、一度は惚れた彼女(妻)のためにできる限りのことは精一杯してやります。