フリーランサーとサラリーマン、最後に笑うのはどっち?
何故、72歳の今もサラリーマンとして働き続けているのか?
それは、若い時にフリーランサーとして楽をしながら仕事をしていたからです。
フリーランサーは、やはりサラリーマンに比べると気楽でした。毎朝、通勤電車に乗って会社に行かなくてもいいし、始業時間も決まっていないので、好きな時に起きて、好きな時に仕事をして、好きな時に寝ることができます。
誰にも管理されず、拘束もされず自由気ままに自分のペースで仕事をすることができました。
私は、他人から管理されるということが嫌で、30歳代半ばから自宅の1室を仕事部屋にして仕事をしてきました。
でも、今はフリーランサーだったことを非常に後悔しています。それは、この年齢でも働かないといけないからです。
大多数の人は、65~70歳になったらリタイヤして、趣味を楽しんだり、夫婦で旅行に出かけたりと、悠々自適な老後の生活を楽しんでいると思います。
私も、できればそうありたいのですが、若い頃に楽をしたツケが今頃になって回ってきました。
「人生、楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」確かにその通りです。
今頃になって気付いても手遅れです。
若い時に苦労をしてないと楽な老後はありません。
フリーランサーには退職金がありません。
当然のことながら、自分で老後の生活資金を蓄えておかないと誰も退職金はくれません。
一般的なサラリーマンの場合、中小企業でも平均1,000~2,000万円?、大企業勤めや公務員だったら2,000~3,000万円?といったところでしょうか。
満員電車で通勤し、嫌いな上司にイヤミを言われ、ノルマ達成に汗と涙を流して定年まで我慢して働いたご褒美です。
でも、そんな我慢を避け、気楽な道を選んだフリーランサーのご褒美は、何年間働いてもゼロなのです。
「よく、ここまで一人で頑張ったね」とご褒美をくれる人はいません。
国民年金だけでは生活は無理です。
個人事業主の場合、普通は国民年金だけにしか加入していません。それは、ほどほどに儲かって定年もないので、今の収入がいつまででも続いて、死ぬまで生活には困らないという思い込みがあるからです。
定年制のあるサラリーマンのようには老後のことなどあまり気にしません。
私のようなアホは、年金なんか必要ないから国民年金の掛け金を払うのをやめようかとさえ思っていたことも一時あります。
実際に、昔は個人事業者の4割くらいは国民年金に加入していなかったそうですが、最近は厳しくなったので、未加入者の率は減っているようです。
現在、私は年金をもらっていますが、国民年金は満額でも月額65,000円ほどで、これから介護保険を引かれて手にするのは55,000円ほどです。これでは到底生活はできません。
サラリーマンの場合は、この上に厚生年金がプラスされますので、しっかり定年まで勤めあげれば、普通に生活できるくらいの年金額にはなるようです。
個人事業主は個人年金にも加入しておかないと、私のように歳を取ってから後悔するハメになります。
パソコンの出現でフリーからサラリーマンに。
若い頃はサラリーマンより稼いでいましたが、それがいつまでも続くことはありませんでした。
私の場合はパソコンの登場で打撃を受けました。それまではデザインの仕事はほとんど手作業でしたから、競争相手は少なく、仕事も多くて結構儲かっていました。
おまけに、バブルの時代は、C I(コーポレート・アイデンティティー)ブームというのがあって、企業や病院、お店などが競ってマークやロゴを作り、そんな仕事だけでかなりの売り上げになりました。
会社のマークとロゴのデザイン料として30万円や50万円いただけてました。
ところが、アップルがパソコン(Mac)を開発し、アドビがグラフィック・ソフトを作り、それが普及するに従って私の仕事は減り始め、デザイン制作料も徐々に安くなっていきました。
Macでイラストレーターやフォトショップを扱えれば、誰でもデザイナーという時代が到来しました。手描きでやってた昔は、そんなことは夢にも考えてはいませんでした。
幸い、私はMacの登場初期からパソコンを使って仕事を始めたので、何とか今でもこうしてデザインの仕事に携わることができています。
私の知り合いのデザイナーの中には、パソコン化についていけなくて転職した者もいます。
フリーランサーとサラリーマン、どっちが得かと言うと
私の経験から言えば 最後に笑うのはやはりサラリーマンです。
若い時は楽して儲かって、ちょっとカッコもいいフリーランサーは最後には泣くことになります。
「人生楽ありゃ苦もあるさ、涙の後には虹も出る」・・・人生、終わり良ければ全て良しです。
老後を犠牲にしてでも今を楽しむか、老後の楽のために今を犠牲にするか? あなたは、どちらの人生を選びますか?
どちらも犠牲にせずに一生楽できたらいいのでしょうが、それができるのは資産家の子息など、ほんの一握りの人種だけです。ほとんどの人は、どちらかを選ばなければいけません。
どちらが良い、悪いは一概には言えません。人それぞれ考え方は違うでしょうし、早死にするか長生きするかでも違ってきます。
個人事業主で、自分は長生きすると思う方は、私のように失敗の晩年を迎えないためにも、儲かっている時に老後資金をしっかり蓄えて、少々無理をしてでも個人年金にも加入されることをおすすめします。
または、気力・体力のある内に法人化して、若い人を雇って経営者として生きていく計画を立てることが肝要だと思います。