「椿と花水木~万次郎の生涯」を読了!

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上・下巻2冊の長編小説です。作者は時代・歴史小説家の津本 陽氏。

ジョン万次郎(John Mung   中浜万次郎)という名前を聞かれた方は多いと思いますが、ご存知ない方は「Wikipedia」に詳しく紹介されていますので、ぜひ目を通してみてください。

ジョン万次郎 - Wikipedia

 

14歳の土佐の漁師の倅が「不幸中の幸い」が重なり、「災い転じて福」となり、幕府直参旗本にまで出世。

明治時代には開成学校(現・東大)の教授にまでなった実在の人物です。

鎖国の時代に自分の意志ではないけど、アメリカ東部に渡り、帰国後は日本初のバイリンガルとして世界を股にかけて活躍。

その波瀾万丈の人生を津本 陽氏が緻密な取材と調査を重ね、長編小説に仕上げました。

非常に読み応えがあり、勇気と感動を与えてくれる大作です。こんな凄い日本人が江戸末期に実在したとは、まさにIncredibleです。

話し言葉が土佐弁で書かれているのが、ちょっと難解でしたが、航海や捕鯨のシーンがまるで映画を見ているようにイキイキとしたタッチで描かれています。

 

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この万次郎という人は、強運の持ち主だっただけでなく、頭脳明晰で、大変な努力家で、並外れた行動力を持ち合わせた人だったようです。

アメリカで3つの学校で勉強しましたが、オックスフォード学校とバートレット・アカデミーを首席で卒業しました。

 

この本のタイトルの『椿と花水木』とは・・・。

万次郎はアメリカでキャサリンという女性と結婚します。彼女の妊娠がわかってすぐに万次郎は捕鯨船に航海士として乗り込みます。

その際に、女の子だったらキャミーリア(椿)、男の子だったらドッグウッド(花水木=ハナミズキ)と名付けるようにと言い残すのです。

しかし、彼女は出産する前に水没事故で行方不明になってしまいます。もし、彼女が生きていたら万次郎が日本に帰って来ることはなかったことでしょう。

 

この小説を読むと、きっと「わいももっと頑張らんといかんがや」(土佐弁のつもり)と思わせてくれます。

おすすめの1冊です。

 

この作品、NHKの大河ドラマにという運動も行われているようですが、ドラマ化には製作費がかかりすぎるのではと思います。

主人公の役者は、バイリンガルでないといけません。アメリカロケも必要になってきます。帆船や蒸気船もたくさん用意しないといけません。捕鯨のシーンも欠かせません。ドラマ化は難しそうですね。

以前、日米合作で映画化しようという話はあったようですが、実現しませんでした。